私たち、だれにとっても、「ほんとうの私を生きる」ということは、大切なことだと思います。
そこで、改めて、この「ほんとうの私を生きる」ということについて考えてみたいのですが、そのことは、しばしば、「自己実現」という言葉で表現され、自分を他の人と比較し、競争に勝って、ナンバーワンの自分になることだと考えてしまうことがあると思います。
「ほんとうの私を生きる」ということは、そのような「自己実現」を目指すことではありません。
「ほんとうの私を生きる」ということは、「私の生きる意味」を実現していこうとするものなのです。私の使命の実現と言ってもよいかもしれませんし、それは生涯に亘っての課題となるのでしょう。
「明の星」は、この大きな課題の実現に向かって、ふたつの精神を大切にしています。
ひとつは、「自分のありのまま」を受け入れ、自分を大切にするということ、もうひとつは、「みんな」を受け入れ、みんなで仲良くするということです。
(校訓「正・浄・和」に因んで)
「明の星」には、お互いを「かけがえのない人間」として尊重しあう校風があります。みなさん一人ひとりが、ほんとうの自分として生きていくことができるよう期待するキリスト教の人間観に基づくものです。
みなさん一人ひとりが、「ほんとうの私」として生きていくためには、自分のありのままをうけとめることが必要です。そうする時、自由な人間として、ほんとうの自分に向かう正しい行動を選んでいくことができるのです。
ほんとうの私になる、すなわち「自己実現」とは、私たちにとって生涯の課題ですが、それは自分ひとりで歩むことではなく、喜びをもってまわりの人と関わり、互いに助け合いながらめざしていくことです。このことが、「明の星」の和やかな雰囲気を作っているのです。
校訓「正・浄・和」は、私たちを、正しく自律心のある、そして、和をもたらす人となるように導く光です。
この校訓を実践するための指針となるのがモットーです。
私たちの浦和明の星女子中学・高等学校は、見沼田んぼを臨む、緑豊かな浦和の地にあります。浦和には、中学・高等学校のほかに、幼稚園があります。また、青森にも、幼稚園(2園)、中学、高校、短大があります。これら8つの学校が、私たち明の星学園です。それでは、学園の歴史をたどってみましょう。
明の星学園の教育母体である聖母被昇天修道会(本部カナダ)が、この日本に最初に根を下ろしたのは、昭和9年10月のことでした。5人の修道女が青森の地を踏んだことに始まります。当初は青森市内の民家に寄宿し、日本語の習得に専念していました。
一方、近所の女子10数人を集めて、ピアノや洋裁などを教えることも始めました。その苦心は徐々に実を結び、生徒の数も増え、周囲の要望に応える形で、独立した校舎を建設することになりました。
地域に密着した青森での教育事業は、高い評価を受けていました。そして、創立30周年を迎えようとする頃、浦和にカトリック学校をという要望があり、浦和の地に、本学園のもうひとつの種が蒔かれることとなったのです。
昭和42年、学園創立30周年の年に、浦和明の星女子高等学校は開校しました。生徒・教職員ともに10数名でスタートし、年を追うごとに、その教育が地域社会に認められ、女子教育を担う高等学校としての確固たる地位を築いていきました。
そして、平成15年4月、中学校を開校し、学園の長年の念願であった中高一貫の女子教育を、第1期生127名と共に始めたのです。中高一貫校として地域の評価を得、多くの生徒が学ぶ場となっています。
その間、平成28年には、高等学校創立50周年を迎え、平成30年、新校舎竣工に合わせてお祝いをしました。
5人のシスターによって播かれた種は、大きくその実を結び、人間教育の場としての使命を果たしています。
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